同調行動下における人間関係の構造と心的ストレスとの関係

研究概要

 人は家族や学校,会社や国など様々な集団に属して暮らしています.集団生活を行うなかで人は他人に好かれよう,受け入れてもらおうと集団の多数派の意見に同調してしまうことがあります.

この同調行動は自分が置かれている状況(同調行動が行われる割合)や集団の構造によって変化すると予想されることから, 本研究では集団の構造と同調行動が行われる割合の変化によって同調行動がどのように変化するかをMAS(マルチエージェントシミュレーション)を用いて調べた.

同調行動に関する研究

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集団が個人に与える影響について社会心理学者のソロモン・アッシュが次の様な実験から明らかにした.

1本の標準刺激(A)と同じ長さの線1本(B)と異なる長さの線2本(C,D)の合計3本を用意して標準刺激(A)と同じ長さの線がどれであるかを8人の被験者に答えてもらった. ここで8人の被験者の内7人はサクラであり間違った回答を行った.つまり真の被験者は1人だけであった. 実験結果はサクラが一致して間違った回答を行った場合に真の被験者はサクラの回答に同調し間違った回答を行うケースが顕著に表れたのである.この実験結果は,集団内の多数派が一致した行動を行うときに個人はこの行動に同調する場合があることを表している.

実験の概要

実験はある問題に対して賛成,反対のどちらかの意見を主張してもらうものであり,主張するときにアッシュの実験から繋がりのある人が意見を公言している場合,公言している意見の中に自分と同じ意見の人がいない状況下では同調行動を確率的に行うモデルを用いる.

集団の構造には,ランダムネットワーク,スモールワールドネットワーク,スケールフリーネットワークの3つのネットワークを用いる.

  • ランダムネットワークは集団内の人と人の間の繋がりをランダムに設定したネットワークである.
  • スモールワールドネットワークは集団内の全ての人と簡単に繋がることの出来,集団内にクラスターと呼ばれる小さな密な関係の集団が出来ているネットワークである.
  • スケールフリーネットワークは集団内の人と人のつながりが一部の人に集まって出来ているネットワークである.

実験では3つのネットワークと同調行動を行う確率を変化させて行った.

実験結果

実験結果から同調行動を行う確率が高いほど同調行動回数が多いことがわかった.またスモールワールドネットワークが他のネットワークに比べて同調行動回数が多いことがわかった.この原因はクラスターによるものだと予想される.


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Last-modified: 2011-01-14 (金) 20:33:47 (2859d)