※本研究は、北海道教育大学 小北研究室との共同研究です。

猫メディア

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猫メディアとは

のら猫を地域コミュニティのためのメディアとして用いる試みです。
他のコミュニティメンバーの猫への関わりを知ることによって, 「地域社会・他者への気づき」「地域コミュニティへの積極的参加」を促します.

人間同士の関わり合いには,様々な利害関係や思いこみ,偏見などといった 非常に複雑で困難な問題が介在します. そのため,コミュニティ内の人間関係を良好に保つためには,多くの努力が必要になります. 本研究では,人々のコミュニケーションに,あえて「猫」を介することで, 自分と他の人たちとの関係の客観視を促します. 対立している相手の言葉を直接聞いたり読んだりしても,冷静に受け止めることができず,逆に溝が深まってしまうことがあるかもしれません. しかし,その相手のことを「猫」が語ってくれたらどうでしょう. いつもより少しだけ冷静に相手のことを考えることができるかもしれません. このことによって他者への理解を深め,よりよいコミュニティが形成されることを期待しています.

地域猫スターターキット

猫メディアを地域に導入するためのキットとしてデザインされています. 「取扱説明書(DVD付属)」「専用首輪」「猫メディアサイト」で構成されています. 専用首輪には,猫メディアサイトに接続するためのQRコードが記されています. 餌やりをする,遊ぶなどで猫と関わった人は,このQRコードを使ってサイトに接続して,猫とのふれあいの記録を登録します. このデータに基づいて猫の内部状態=「気持ち」が猫自身の日記として,書き込まれます. 次に猫と出会い,猫メディアサイトにアクセスした人は,猫の気持ちを通して,他の住人の猫との関わりを知ることができます.

地域内の他の人たちの存在を「かわいがっている猫」という共通の接点を通して知ることによって, より強く意識することができます.

研究発表等

  1. IES2007, Kanagawa, Japan, Nov. 30 - Dec. 2, 2007.
    Hidetsugu Suto and Makiko Okita: A Communication Medium for Local Community aim at Benefits of Inconvenience, Proc. 11th Asia-Pacific Workshop on Intelligent and Evolutionary Systems, CD-ROM, 2007.
  2. IES2007, Kanagawa, Japan, Nov. 30 - Dec. 2, 2007.
    Hisashi Handa, Hidetsugu Suto, Makiko Okita and Hiroshi Kawakami: Agent-Based Simulation of Regional Cat Activities, Proc. 11th Asia-Pacific Workshop on Intelligent and Evolutionary Systems, CD-ROM, 2007.
  3. SID2007, Trento, Ialy, Jul. 2-4, 2007.
    Hidetsugu Suto, Makiko Okita: Proposal of a Novel Communication Medium to Promote Community Using Homeless Cats, Proc. of the 6th workshop on social intelligence design, pp.287-296, 2007.
  4. 第20回「相互作用と賢さ」研究会, Japan, Dec. 11, 2007.(登別)
    須藤秀紹: 野良猫との共生を目指す地域コミュニケーション・メディア
  5. 第35回知能システムシンポジウム, Mar. 17-18, 2008.(東京工業大学大岡山キャンパス)
    半田 久志, 須藤 秀紹, 小北 麻記子, 川上 浩司: 猫メディアのエージェントベースシミュレーション, 第35回システムシンポジウム資料, pp.250-253.
  6. 第34回知能システムシンポジウム, Kyotanabe, Japan, Mar. 15-16, 2007 (同志社大学田辺キャンパス) 小北 麻記子, 須藤 秀紹:猫メディアがもたらす地域コミュニティ・デザイン 〜不便益の視点からの考察〜, 第34回知能システムシンポジウム資料, pp.277-280, 2007.
  7. 第39回計測自動制御学会北海道支部学術講演会, Sapporo, Japan, Jan. 19, 2007(北海道大学学術交流会館) 小田 智大,須藤 秀紹,小北 麻記子:猫メディア・エンジンのための基礎研究 〜人の発話を手がかりとした猫発話生成システムの開発〜, 第39回計測自動制御学会北海道支部学術講演会論文集, pp.107-110, 2007.
  8. ヒューマンインタフェースシンポジウム2006, Kurashiki, Japan, Sep. 27, 2006 (倉敷アイビースクエアー) 小北 麻記子, 細矢 真実, 加藤 七実, 須藤 秀紹: 猫メディアを活用した地域コミュニティ活性化システムの提案, ヒューマンインタフェースシンポジウム2006論文集, pp.899-904, 2006.
  9. ヒューマンインタフェースシンポジウム2006, Kurashiki, Japan, Sep. 27, 2006 (倉敷アイビースクエアー) 須藤 秀紹, 小北 麻記子: 野良猫と共生する地域コミュニティの創発 〜猫メディアの提案〜, ヒューマンインタフェースシンポジウム2006論文集, pp.527-530, 2006.

2008年度システムデザイン論研究室卒業論文

地域コミュニティ内における情報共有が地域住民の行動に及ぼす影響の分析

森田 拓愛(Hironaru MORITA),須藤 秀紹(Hidetsugu SUTO)

  • 概要
    のら猫は地域の住民にとって迷惑な存在でもあります.もらった餌を残して腐らせる,糞をする,樹木で爪を研ぐといったトラブルを起こすことがあるためです.こういった野良猫に関する問題(猫問題)のなかでも,特に影響の大きいこととして,糞や貰った餌の食べ残しの被害があります.この猫のフンと食べ残しには,地域の住民がどのように猫に餌を与えているかが大きく影響していると考えられます.
    そこで,本研究では猫メディアによって地域住民のコミュニティ内で猫に餌を与えた情報を共有すると住民の行動はどのように変化するかということについて調べています. しかし,実際の地域社会を対象に猫メディアを運用し検証を行うことは非常に困難です.また,餌やりに関する情報の共有の影響だけを抽出することも困難です.そこでマルチエージェントシミュレータ(StarLogo)を用いたシミュレーション実験によって人の行動を調べ結果を分析しています.
  • シミュレーション実験
    ある地域で1匹ののら猫が50戸の家々を回るというシミュレーションを行いました. 実験では,住民の行動は
     ・餌やりをする
     ・猫の糞や餌の食べ残しを掃除する
     ・猫の糞や餌の食べ残しを見つけ不快に感じる
    という3パターンとしました.住民一人一人の猫や猫問題への関心の強さによって,行動は異なります.猫の行動は
     ・家々を回る
     ・お腹が減る
     ・餌を食べる
     ・餌を食べた数時間後に糞をする
    という4パターンです. 猫メディアをコミュニティに導入することによって,猫の食事履歴(いつ猫が餌を食べたか)が確認できるようになります.猫の食事履歴を確認することで,猫がお腹をすかせているかがわかり,餌のやり過ぎが減ることが予想されます.餌のやり過ぎが減ることで,糞や食べ残しが減ることも予想できます.
  • 結果
    猫メディアの導入によって,過剰だった猫への餌やりはある一定の頻度以下になりました.ある一定の頻度とは,猫のお腹が減るまでは餌やりをしなくなったということです.その結果,猫の糞は減少しました.そして,餌の食べ残しはほとんどなくなりました.糞や食べ残しが減ったことで住民の不快感も減少するという結果が得られました.
    実験では,3種類の地域コミュニティについてシミュレーションをしました.猫や猫問題への関心が高いコミュニティ,関心が低いコミュニティ,そして両者の中間のコミュニティです.実験の結果,猫や猫問題への関心が高いコミュニティほど,餌やり情報の共有が住民の不快感の低減に有効であることがわかりました.
    しかし,本来猫メディアは人間同士のコミュニケーションを促すものです.本研究の実験では,住民間の直接的なコミュニケーションはシミュレーションに含まれていませんでした.猫メディア研究は,新たなメディアの提案によって人々の認識に変化を与えることで,地域の活性化を目指しています.今後は,猫メディアによって住民の認識が変化する様子をシミュレーション実験によって確かめることが必要であると考えています.
  • 口頭発表質疑応答→2008年度卒業研究発表会での質疑応答

第34回知能システムシンポジウムでの発表

猫メディアがもたらす地域コミュニティ・デザイン 〜不便益の視点からの考察〜

このデモサイトは現在休止中です.(2007/5/11)


SICE 北海道支部学術講演会での発表

猫メディア・エンジンのための基礎研究

〜人の発話を手がかりとした猫発話生成システムの開発〜 小田 智大(Tomohiro ODA),須藤 秀紹(Hidetsugu SUTO),小北 麻記子(Makiko OKITA)

  • 質疑応答(小田)
    • [Q] 猫被害を受けている人が「おしっこしちゃったにゃ」などと言っているのを聞いたら余計に怒ってしまうのでは?
      [A] 猫メディアは,自分が餌やりをしている猫がしらない間に他の人に迷惑をかけているということに対する「気づき」を促すことが目的です.猫の告白を聞いて,意識に変化が生じることを期待しています. ただ,文言については確かにご指摘の通りであり,今後改善してゆく必要があると考えています.

HIS2006 での発表

猫メディアを活用した地域コミュニティ活性化システムの提案

A Study on novel system of vitalizing community using Neko media.

  • 概略: 猫メディアは、野良猫を地域コミュニティ内の情報メディアとして捉える新しい試みである。 本研究では、この猫メディアを「地域猫活動」普及に活かすシステムを提案する。 地域猫活動とは、一般に迷惑な存在だと考えられている野良猫と地域社会との共生を目指す活動である。 現在、この活動の普及運動は、パンフレットやウェブサイトなどで文字情報を発信することによって 行われている。ここに猫メディアを活用した「地域猫スタータキット」を導入することによって、 さらなる活動の広がりを目指すものである。
  • 対面発表質疑応答
    • [Q] 猫に触れられない人はQRコードが読めないのでは?(猫が触らせてくれないなど)
      [A] QRコードは一つの例として提案した.技術要素にこだわりは無いので,今後,よりよいアクセス方法を検討してゆきたい.
  • [Q] 猫嫌いな人はコミュニティに組み込まれないのでは?
    [A] コミュニケーションは相対的なものである.周りの住民の意識に変化が起こることによって,猫嫌いの人の意識にも何らかの変化が生じると期待している.
  • [Q] 猫は人を近づかせないのでは?
    [A] 人と猫との関わり合いがあるので,もちろん近づかせない場合もある.
  • [Q]携帯電話はお年寄りが使いづらい.コミュニティに入れないのでは?
    [A]スターターキットによって,猫に対する認識の変化がおこった人の行動をお年寄りが見る,もしくはキットのことを話しに聞く.それによって間接的に認識の変化が起きて自然にコミュニティに入ってゆくことを期待している.
  • [Q]図はあくまでもうまくいっている例.猫メディアが導入されてもうまくコミュニティ形成がされない場合や,さらに関係が悪化することもあるのでは?
    [A]これは意見を押し付けることが目的ではないので,絶対にコミュニティが形成されなければいけないわけではない.関係が悪化〜については考えたことはなかった.
  • [Q]NPO団体等に売り込もうと思っている?
    [A]現在は実験段階であり,まだ積極的に売り込むことは考えていない. 将来的にはNPOなどで利用してもらえると思う.
  • [Q]他の動物(犬,奈良のシカ,ハト)を使えないか.他の動物を使おうと思ったことは?
    [A]地域で人と共生している小動物について検討した結果,猫がもっとも適していると判断した.
  • [Q]野良猫ではなく、飼い猫でも良いのか?
    [A]地域の人々と関わりをも猫であれば、コミュニケーションメディアとしての役割を果たすので、絶対に野良猫でなければいけないというとではない.
  • [Q]そんなにすぐに人の認識は変わるのか?
    [A]急激に、人々の認識が変化する訳ではない.徐々に変化することによって、地域コミュニティの人間関係が良い方向に向う目指しているので、すぐに変化しなくても良い.

野良猫と共生する地域コミュニティの創発 〜猫メディアの提案〜

A novel communication media aim symbiosis with homeless cats

  • 概略: 新しいメディアの登場とともに人々の生活は大きく変化してきた. とくに近年,インターネットなどの高度にデジタル化された情報インフラの登場によって, 高速に大量の情報が伝達されるようになった. このことは,遠くの見知らぬ者同士をつなぐ作用がある反面, 隣近所といった地域内のコミュニケーションの希薄化を招いている. 本研究では,地域の問題として取り上げられることが多い 野良猫を新たなメディアとして活用することによって, 地域コミュニティの活性化を目指す.
  • 口頭発表質疑応答
    • [Q]研究スタッフはどのような「コミュニティ」で子供時代を過ごしたのか?
      [A]大阪の郊外,地方都市などいろいろ
      (質問の意図は,どのようなコミュニティへの導入を想定しているのか,だと理解しました)


添付ファイル: fileQR_buchi.png 637件 [詳細] fileQR_kuro.png 596件 [詳細] fileQR_mike.png 581件 [詳細] fileQR_tama.png 601件 [詳細] filechasen-2.3.3.tgz 608件 [詳細] fileopen_campus_web.jpg 622件 [詳細]

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Last-modified: 2009-04-06 (月) 09:44:01 (3817d)