感性情報を用いたデザイン支援 †2つの形状からなる形状がみる人に与える印象 †(研究背景) †一昔前までは消費者が製品を購入する際に,高機能,高性能など「機能性」という評価基準がありました.しかし現在では高機能,高性能は当たり前の時代になり,すでに十分な機能を備えている製品が多く存在し,機能で他の商品と差別化を図ることが難しくなってきています. これらのことから他の製品との差別化を図るために,「スポーティな車」,「スタイリッシュな音楽プレイヤー」など感性に訴えかける商品が登場し,感性の情報を商品に付加することが製品をデザインする過程において重要なテーマとなっています.そこで感性を客観的に評価することができれば製品をデザインする過程において,とても有益だと考えられます.また世の中にあるさまざまな製品をある視点から見る(図1を参照)と,二つの部位から構成される平面図形で近似できるものが数多く存在します.二つの部位から構成される平面図形で近似できるものの一つとして日本のマスコットキャラクターがあります.多くの日本のマスコットキャラクターは「かわいい」や「子供っぽい」などのイメージを持たせています.また日本のマスコットキャラクターの多くは,白銀比が使われていることが明らかにされています[1].このように白銀比の持つイメージだけではなく,平面図形で近似した二つの部位の関係性が印象に与える影響を調べることが本研究の目的です. 図1.身の周りの製品 (研究要旨) †上記の背景から私たちは,平面図形を上下に組み合わせた形がみる人に与える印象を調べます.みる人がどのような印象を感じているかを調べることで,商品に印象を容易に付加することができ,このことにより製品形状の比率を操作することで新たな付加価値を商品に持たせることができるようになると考えられます. 図2.基本形状を組み合わせた形 実験は被験者に図1に示す形に対するイメージを評価してもらい,その評価データから関係性を導きだします. 評価する方法は,表1に示す感性語対を用いてそれぞれ7段階評価でアンケートをとりました. 表1.評価に用いる感性語対 (研究会での発表) †
(参考文献) †
化粧品容器のデザイン支援 †化粧品容器の形状が消費者に与える「印象」について研究しています. 商品の様々な要素が消費者の購買意欲に影響を与えています. 従来,消費者は商品に機能性を求めてきました. 高性能,高機能といった視点からの評価は, 数字で比較することができるため「どちらが優れているか」という比較が容易です. しかしすでに十分な機能を備えている製品(家電など)は 機能で他の商品と差別化を図ることが難しくなってきています. そこで,所有に対する満足感や心地良さ, 心理的な満足感,感動を与える商品やサービスが注目されてきています. これらは,製品の感性的側面と捉えることができます. 感性的な性能の高さは,一般に機能性の評価とは異なり, 定量的な分析が容易ではありません. 本研究では,感性的側面が特に重視させる製品として,化粧品に着目しました. 化粧品そのものは液体等の無形のものが多く,パッケージやラベル, 容器等のデザインが商品のイメージを決定する重要な要素となります. デザイナーが具現化したデザイン案を客観的に評価することができれば, デザイン案の決定過程において,有益な支援を提供できると考えました. 本研究では,化粧品の容器形状のシルエットに注目します. シルエットの形状から特徴量を抽出し, それらとシルエットに対する印象との関係性について線形手法を用いて分析します. |